がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

赤いものを身に着けてモテモテになるのよ

道頓堀劇場のロビーでぼーっとテレビを見ていたらギボ愛子さん似の占い師がこちらをじっと見つめて「あなた、モテないでしょう」と言ってきた。不愉快なのでチャンネルを変えたいのだが劇場のテレビなので変えるわけにもいかず、下を向いてピンクと水色のタイル張りの床をきれいな色だなーと思って見ていると、ギボさんがテレビを抜け出す気配がして「これはくるぞくるぞ」と思っていたら案の定わたくその座っているソファの右側が沈み込んで誰かが座った様子、顔を上げるとすぐ近くにギボさんが座っていた。目が合うとニッコリと前歯を出して「ようこそいらっしゃい」と言った。いやギボさんのほうが来たんだと思ったが、何も言えずにいると、ギボさんは「赤いものを身につけなさい」と言った。メロンジュースはメロンの切り身がコップに刺してあるものが上等なのに最近はなかなか出してくれる店が無くなったわね、という話を織り交ぜながら、「赤いものを身に着けると異性にモテモテになるのよ」「モテるだけじゃなくて、赤って、ほら、ね?」と言ってわたくそを見つめている。「ほら、ね?」の先は口に出さないのはわてくそに考えさせようということであろう。赤には古来より疫病除けの意味があるので、時節柄新型コロナ除けのことだなと思ったが、わたくそは返事も何もできないでまたうつむいて黙っていたら、ギボさんはいつの間にか消えていた。
 
 という夢を4月中旬に見た。わたくそは夢をたくさん見る。とくにコロナ緊急事態宣言が出て、生活にメリハリが乏しくなってからは濃い夢をたくさん見る。その中でこの夢は長さ質ともに大したことはない部類で、せっかく劇場にいながら踊り子さんが出てこないというのはつまらない。すぐ忘れる夢だと思っていたのだが、妙に鮮明な部分もあって数日経っても忘れられず、それどころか、赤いものを身につけようという気がムクムクと起こってきた。ギボさん、夢の中でもうまいことを言う。モテたい一心で赤シャツを着ることは羞恥心が強くて自らの行動を抑制してしまうが、コロナ退散の意味も持たせて動機がダブルミーニングとなっていることによって、赤いものを身につけることに抵抗が薄くなったのである。

わてくそ、若くてスリムなボデーだったころは赤いシャツも着こなしていたのだが、このごろは黒か紺がほとんど。ワイシャツは縦縞を好む。今や赤のように強烈な色彩はわてくそのでかい身体を迫力をもってさらにでかく見せてしまうのである。しかし「身につける」というのは何もシャツに限らなくてもよいのである。面積の小さいものなら、帽子、メガネ、中尾巻き風のネッカチーフが思い浮かんだ。だが、これらは主張が強すぎたり、シャアへの憧れが強すぎる人みたいだ。すると腕時計くらいかなぁと。赤の面積はごく小さいけれど、腕時計ならずっと身に着けていられる。そう思うと俄然腕時計が欲しくなってきた。劇場に行くときによく着けていた青い文字盤の腕時計は正月くらいから竜頭(リューズ)が引き出せなくなってしまっているので、修理に出すか買い替えるか迷っているところなのだ。

「赤」「腕時計」「メンズ」で検索すると出てくる時計は概してスポーティーであり、ゴテゴテとしてメカニカルである。クルマの計器をイメージしているのてだろう。
ところで車をカタカナで「クルマ」と書くとライトな感じになると同時に車を趣味にしてる小洒落たオトコ感がビンビン出てくる。女性のことを「オンナ」と言っていそうだ。鉄道ファンも「電車」のことを「デンシャ」と表記すれば少しはオシャレに見られるのではないだろうか。
これらのスポーティーかつメカニカルな赤い腕時計はフェラーリ略してフェラのシューマッハのファンが所有していそうだが、わてくそはフェラもクルマも別に好きではない。しかし深夜放送がまだ限定的だったころ深夜にやってたF1をぼーっと見ていたので「赤い皇帝」シューマッハくらいは知っているのだ。ちなみに「赤い宮様」は三笠宮様だ。

(思いがけず宮様が出てしまったのでここで中断したら6日経った)
高校の同級生に腕時計とりわけロレックス好きがいた。ある日彼は学校にロレックスのサブマリーナを付けて来たが、それはアメ横で買ったバッタもので、自動巻きどころかクオーツであり、よく見るとROLEXではなくROLIX(ロリックス)であった。余談であった。ウオッチ魚っち。

控えめで上品な赤い時計というのはなかなか見つからない。今流行りなのか青は数が多いのだが。バンドまで赤いものはわたくそには派手すぎる。文字盤だけが赤、しかも真っ赤ではなくて落ち着いたワインレッド、もしくは赤のグラデーションのものが欲しい。そういうものはなかなか無い。あっても大変な値段がする。そこで、オーダーメイドで手頃な値段の腕時計はないだろうかと調べた。いくつかの業者が出てくるが、バンドを選べるくらいでオーダーメイドと言ってほしくない。そんな中、赤い文字盤が選べる業者は「ルノータス」というところがヒットした。
ルノータスのページにはオーダーメイドシミュレーションがあり、これをいじくって何日か遊んでいた。以下にわたくそが作った腕時計を二三披露する。

 

f:id:kazkumaputti:20200502214436j:plain

これ、エレガントでしょう。直径40㎜のクオーツである。赤い文字盤には細かいパターンが刻まれ陰影がある。ベゼルがやや華やかすぎるが、ちょうどいいベゼル(ロリックスデイトジャスト的なやつ)が欠品によって選択できなかったのだ。
ただ、私は自動巻き(機械式)を求めているのだ。40㎜自動巻きにはこの文字盤が選択できなかったので注文には至らなかった。

 

f:id:kazkumaputti:20200502214557j:plain

次にごらんいただいているこちら、ダイバーズウォッチながら落ち着いているでしょう。
赤い文字盤は40㎜タイプと共通、回転ベゼルを暗いアルミシルバーにして引き締め効果を狙ってみました。ベゼルは真黒も考えたけど、武骨になりすぎる。
20気圧防水となっているけど、本格的なダイバース時計は200気圧~って感じらしい。ではこれはダイバーズタイプというべきか。洗顔や雨でも躊躇なく使えるくらいかね。まあ、わてくそは水に顔を漬けるだけでもひーひーなのでね、ダイビングなど一生しないでしょう。といってもダイバーズはいい。本来水中で酸素の残り時間を示すのに使う回転ベゼルが、劇場進行の予測をしたり、終電の時間を示しておいたり、都市生活に役に立つのだ。押しボタンを操作するタイプよりも、サッとさりげなくセットできるのもいい。
ただ、こちら直径が45㎜もある。これは相当デカい。デカ厚である。上着の脱ぎ着、リュックの背負い外しなどの際、引っかかるであろう。このデザインで42㎜程度(ロリ・サブ)ならベストだった。


ダラダラ書いていたら、赤いものを身につけたいという欲求が薄らいできた。