がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

バスのボタン

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子供のころはバスのボタンを押すのが楽しみだった。押すとピンポーンもしくはプーと鳴って自分の押したボタンだけじゃなくバス中のボタンが紫色に光るのである。
今調べたら、降車ボタンと呼ぶらしい。降車ボタンを集めているマニアの方もいて、ガチャガチャにもなっている。
わたくそも降車ボタンを一つ持っている。その形から、30年ほどは前のバスのものと思われる。青いぶぶんには「とまります」と書いてある。9ボルトの角型電池を当てると紫色に光って「とまります」がはっきり見えるのだが、今9ボルト電池が見つからない。こんなものを持っているがわてくしは別にバスマニアというわけではない。いつどこで買ったのかはっきりしない。東急ハンズの何かのフェアだった気がする。そして数百円、350円とかで買ったのだと思う。
子供のころは押すのが楽しみだったので、誰かに先に押されてしまうとがっかりしていた。「終点では押さなくていいのよ」と母に言われながらも押してしまったこともあった。じつは20代になっても押したかった。別にどうでもいいやと思えるようになったのは30過ぎてからである。
このまえ親子連れが乗っていて、会話からわたくそと同じ停留所で降りそうだったので、「ぼっちゃんどうぞ押しなされ」という気分でボタンを押すのを待った。子どもがボタンに指を伸ばし、笑顔で顔でママの顔を見て、いよいよ押すぞという瞬間、子どもが押しそうだということを知ってか知らずか老婆がピンポーンと押してしまい、子どもは泣きそうな顔になった。
ところで降車ボタンを押すタイミングはいつがベストなのだろうか。前の停留所を出た直後だと、運転手が今の停留所で降り損ねたのかと思いブレーキをかけるかもしれない。放送で降りるバス停が読み上げられてから、というのがベストだろうとワテックスは思う。(ワテックスとは、私をスポーツ用品メーカー風にかっこよく表記したものである。)
夜、帰宅する勤め人でいっぱいの時間になると、今度は逆にだれもが押したがらないのである。皆誰かが押すのを待っているのだ。無言の戦い、押したら負けのチキンレース。ギリギリ手前になって心理戦に負けた者が押すのだ。で、止まると何人もゾロゾロ降りるのである。運転手からしたらさっさと押せと言いたいところだろう。

ふと思ったのだが、路面電車に降車ボタンはあっただろうか。都電(荒川線)にはなかった気がする。荒川線はほぼ地元ではあるが、3年くらい乗っていない。一番最近乗った路面電車長崎市電だ。長崎に行ったのは去年の春だからもう1年半経っている。今調べたら、長崎も荒川線も降車ボタンはあった。ということは、誰も押さなければ、そして待っている客もいなければ停まらないのだ。おもしろいね。
昔走っていた岐阜の路面電車は、路上にホームはおろか、電車を待つところが無くて(歩道のように一段盛り上がっているところさえもなかった)、車がビュンビュン走っている道の真ん中に停まっている電車に路上から直接乗り降りしていてびっくりしたが、あれは乗るときはどこで待っていればいいのだろう。路面電車はバスのように歩道まで寄ってきてはくれないのだ。歩道で待っていて手を挙げて電車を停めるのだろうか。今は岐阜の路面電車はないが、時々岐阜の人はどうやって乗っていたのか気になる。