がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

とんかつ屋にて

つい先日もチェーンのとんかつ屋に一人で入った。私たいてい一人で外食です。
このごろのとんかつ屋はお一人のお客さんが多くて躊躇なく入れる。とんかつ屋だけではなく、JAPANはお一人様が当たり前になってきまた。いいことだ。今度一人ディズニーランドに行こうかな。行かないけど。そもそもディズニーランド行ったことないけど。大切な人ができたら行きたいと思っているうちにウン十年。

とんかつ屋の話だ。「こちらのお席でよろしいですか」と言われたが、隣のテーブルのおじさんを見て内心(うっ…)と思いつつも何も言わず座った。まさか「隣がヤバそうなので他にしてほしいです」とは言えない。そして何も言わないのは了解の意味。こういう時世田谷あたりのマダムを気取って「他の席にして下さるかしら?」と言えたらいいなと後から。隣の人はなかなかワイルドな雰囲気の坊主頭の前歯のないおじさんで、作業着に素足にサンダルでした。人を見た目で判断してはいけないと思いつつも(わたくそもタイプは異なりますが、人のことを言えたようなステキおじさんではないのですが)、見るからにヤバチーン!なおじさんが、脚を組むというか足の裏が上を向く半あぐら状態で、上げた方の脚はサンダルを脱いでの裸足がわたくそに向いている。おじさんはビールとともにロースかつ定食\1,180-を食べていた。突然おじさんは店員を呼んで「シェフ呼んでくれる?」と言った。シェフ(というか調理担当)の女性が出てきて、緊張の面持ちで「なにかございましたか」、するとおじさん「このソースは自家製?」と聞く。「はい」。「このソース、なんか足んねぇんだよな」「すいません」「このとんかつはあんたが揚げたの?」「はい」「とんかつはいい。グーだよ」と親指を立てた。「ありがとうございます」。とやって、おじさんはまた食べ始めたので調理担当は戻って行った。
おじさんにとってはこのとんかつはめったに食べられない御馳走なのだろうか。そしてテレビで見たシーンをを自分もやってみたかったのだろうか。
私がロースかつ定食\1,180-を食べている横でおじさんは食い終わってもずっと席でチェッチェッと音をさせて歯クソをほっていた。

10年以上前、やはり一人で新宿のとんかつ屋に入った時のことだ。席で待っているとき厨房からガチャンと音がした。出てきたとんかつの付け合わせのせん切りキャベツを食べたらガリッとなにか硬いものを噛み砕いて、吐き出したらガラスのカケラだった。水滴が付いたみずみずしいキャベツに透明のガラス片か混じっているのは見た目ではわからない。ケガはしなかった。それ以上キャベツには手を付けずにとんかつを食べ、クレームをつけることなく店を出てきてしまった。

私はとっさに強く言えない時があって、それはその時の私のメンタルなどにもよるのだけど、後から、あれは言うべきだったかなぁ、他の客に出したキャベツにも混ざっていてケガした人いたんじゃないかなぁ、食事代くらい無料になったかなぁと思って店を出てからくよくよした。いまでも時々思い出してはくよくよしている。