がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

ネコチャン

ネコチャンというのは私が飼っていたメス猫の名前である。
他界して半年経った。
ハムスターより大きい動物を飼ったのはネコチャンが初めてだった。
動物と意思疎通ができるというのは衝撃だった。
ヘタな人間よりもよほど立派な人格者だった。
穏やかで、壁やカーテンを引っかかず、教えなくてもトイレで用を足した。自分から膝に乗ってくることはあっても抱かれることが苦手で、抱き上げると仕方ないという顔をしてしばらくじっとして抱かせてくれるが1分くらいすると身をよじるのだった。
10才くらいから簡単な言葉をしゃべるようになった。
後頭部から干した布団の匂いがした。
2度の引っ越しにも付いてきて、17年一緒にいた。
あんな猫他にいないよ。
今新しくねこを飼おうという気にはならない。

いまだにソファで丸まっている気配がして撫でようとし、柔らかく暖かいものに触れるはずの手が空をきる。
夜明かりを付けずにトイレに行くときなど足に体をすり寄せてきたような錯覚がおこる。

 

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