がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

ガサツな同級生の思い出

高校の同級生に、ガサツな男がいた。
ヤンキーというわけではないが、動作が粗く、声も大きかった。
常に骨折もしくは突き指していた印象がある。
階段は手すりを滑り降り、エスカレーターではむやみに逆光する奴だった。

ひとのチンコを見るのが好きで、トイレで隣に立つとやたらとチンコを覗いてくる奴だった。
なぜか女子には人気があった。

 

彼と一緒に帰った時に、私の目の前で車に跳ねられた。
交差点を渡る途中、会話が聞き取ろうとして突然後ろへ戻ったので明らかに彼が悪いのだが、
2メートルくらい飛ばされてアスファルトに倒れた。
あっ、これは死んだかもしれないと思ったが、すぐに起き上がり「痛ってーな、バカヤロー!」と怒鳴った。
車は行ってしまった。
彼はズボンをめくって膝の傷にツバをかけながら「チックショーぶっ殺す!」と言って、立ち上がって何事もなかったかのように歩き、跳ねられる前の会話を続けた。

(今考えれば救急車(と警察)を呼ぶべき一大事なのだが、私も当時なにもしなかった。)
私は、自分ではないとはいえ目の前で同級生が車に跳ねられたショックで心臓がバクバクしていて会話をする気もなかったのだが、あのようなことがあっても罵声を発するだけ発したらけろりとしている彼の神経の太さがうらやましくも感じた。

 

卒業後彼とは会うこともなかったが、この前、地元の友人に、そういえば彼はどうしているか聞いたら、高校卒業後すぐにバイクで事故を起こしてとっくに死んでいた。