がけぷっち世界

ここはくまのおかしな世界です。

あの世にお花はなかった

あの世に行ったことがある。幼少のころ大きな手術を受けた時。
はっきりと記憶にある。
あれがあの世だったのだという確信は、ずいぶん後になってからのことでしたが。

 

広い草むらを歩いていた。草は膝くらいまである。足元はゴムを踏むような感触で歩きにくい。(渋谷の埼京線ホームに行く歩く歩道がその感じに似ている)。なぜ歩いているのかは分からない。なぜか歩かなくてはならない。地平線のかなたまで草原。目の前にとてつもなく大きな透明のブロック(立方体)があるような気がするが透明なので「気がする」だけだ。空は青く晴れているが不穏な感じの雲が流れている。(後年、ダリの絵を見てこれだと思った。)恐怖、苦痛、暑さ寒さは感じていないが、心にぽっかりと穴が空いたような、何か理解はできないがとんでもない嫌な気持ちがしている。不安とか喪失感とか、大人になった今では言葉で言い表せてしまうが、そういう言葉は近いかもしれないけれどしっくりこない。(この感じは今でもときどき前触れもなく感じる、感じるというより襲われる。自分では「あの世の感じ」と名付けている)。歩きにくいが、歩かなくてはならない。疲れは感じないが、一歩一歩進むごとに嫌な感じが増えていく。もう長い間も歩きつづけている。

 

臨死体験をした人の手記などでは、他の死者に会ったり、神(または鬼)のイメージに会ったり、また、あの世から帰ってくるときに呼び戻しやドラマがあったりだが、私はただひたすら歩いていて、何をきっかけに戻ってきたのかも分からない。他に人影はなかった。お花もなかったように思う。三途の川に類する水場も見なかった。ただ、なぜかあれはあの世だったと確信しているのです。
人によってあの世は違うのだろうし、私が次にあの世へ行くときは違うあの世なのかもしれません。

その後2回死にかけましたがとくにあの世にいった記憶はありませんので、これは死にかけには入らなかったのかも。

 

私は広所恐怖症気味で、多くの人が「広々としていい景色」と言う所が苦手です。北海道に旅行に行った時など困ったのですが、あと、なぜかそんなに広くはない箱根の仙石原でも恐怖を感じたのですが、この体験があるからだと思います。